BRJと千葉県多古町の連携にみる、特定小型原付事業の地域ソリューション化
BRJ株式会社の代表が千葉県多古町から地域課題解決の委嘱を受けた。電動キックボード型特定小型原付の提供にとどまらず、物流現場出身のトップが掲げる安全思想を基盤に、自治体の交通戦略へ上流からコミットする同社の事業深化を読み解く。
電動キックボード型の特定小型原付シェアリング事業は、単なる移動手段の提供から、自治体の地域課題を上流から解決するソリューションへと役割を広げつつある。BRJ株式会社と千葉県多古町が結んだ新たな協力関係は、モビリティ事業者の立ち位置の変化を象徴する動きだ。
同社代表の宮内秀明氏は2026年4月1日付で多古町より委嘱を受け、地域経済活性化の戦略策定や観光振興、行政サービスの効率化に関わる活動を開始した。成田国際空港に隣接し、多古米やあじさい遊歩道などの資源を持つ同町において、交通空白の解消を通じた魅力向上に取り組む。
特定小型原付「TOCKLE」や自動運転モビリティを展開するBRJは、車両の導入と運営をパッケージ化し、地域密着型の事業を推進してきた。今回の委嘱は、同社が単なる車両サプライヤーではなく、地域交通の再構築を担うパートナーとして行政側に認知された結果と捉えられる。ハードウェアの配備に先行して、地域の交通戦略そのものにコミットするアプローチをとっている。
この強固な連携の背景には、経営トップの経歴が深く関わっている。宮内代表が約10年間にわたるトラックドライバー時代に培った、物流現場における安全管理への厳しい視点が、同社の事業基盤に反映されている。自治体にとって、新しいモビリティの導入は事故リスクへの懸念がつきまとう。現場を知るトップが主導する安全第一の思想が、戦略策定から観光振興までを包括的に任せる委嘱関係の構築を後押しした形だ。
車両を提供するだけでなく、安全な運営体制の構築と地域課題の解決を同時に進める手法は、地方都市における次世代モビリティ定着のひとつの指針になる。